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糖尿病:活性化プロテインCは内皮細胞と足細胞のアポトーシス抑制により糖尿病性腎症に対して保護的に働く

Nature Medicine 13, 11 doi: 10.1038/nm1667

内皮機能不全、微小血管性疾患と糖尿病性の末端器官損傷の因果関係を示す直接的証拠となるデータはきわめて少ない。今回我々は、内皮のトロンボモデュリンにより制御される活性化プロテインC(APC)形成が糖尿病マウスでは低下しており、これが腎症の原因となっていることを示す。トロンボモデュリン依存的APC形成は、糸球体でのアポトーシスを妨げることにより、糖尿病性腎症で細胞保護作用を示す。APCは、内皮細胞と糸球体ろ過障壁を構成する細胞の1つである足細胞で、グルコース誘導性アポトーシスを抑制する。APCは、グルコース負荷細胞でプロテアーゼ活性化受容体(PAR-1)と内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)を介してミトコンドリア・アポトーシス経路を調節する。これらの実験から、高血糖が内皮トロンボモデュリン依存的APC形成を障害する新たな経路が確認された。トロンボモデュリン依存的APC形成の消失は、血管区画と足細胞間のクロストークを妨げ、糸球体でのアポトーシスと糖尿病性腎症を引き起こす。逆に、長期の糖尿病ではAPC濃度を高いままに維持すると、糖尿病性腎症を防ぐことができる。

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