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アルツハイマー病:in vivoにおいて脳脊髄液中で測定されたヒトのアミロイドβ生合成と分解除去の速度

Nature Medicine 12, 7 doi: 10.1038/nm1438

ある種の病状は、タンパク質の産生や蓄積、分解除去の障害を特徴とする。アルツハイマー病では、アミロイドβ(Aβ)の脳内蓄積やアミロイド前駆タンパク質もしくはAβ生成酵素における病原性変異が、Aβの産生や分解除去の調節異常がおこっていることを示している。しかし、Aβの生合成あるいは分解除去の調節異常が、最も一般的な型のアルツハイマー病(孤発性で全症例の99%強にあたる)の原因かどうかは不明である。本論文では、ヒトの中枢神経系(CNS)内でのタンパク質の産生と分解除去の各速度を決定する方法について述べる。我々はヒトCNSにおいて、in vivoでAβの産生および分解除去の速度を初めて測定し、1時間あたりの産生量は全Aβ量の7.6%、分解除去量は8.2%であった。この方法は、新たな疾患バイオマーカーの探索や、タンパク質代謝の疾患にかかわる根元的差異の評価、また想定された疾患原因経路に対する治療の薬動力学的影響という見地からの治療法評価に使えるかもしれない。

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