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血管収縮:ウリジンアデノシン四リン酸:内皮由来の新規血管収縮因子

Nature Medicine 11, 2 doi: 10.1038/nm1188

内皮は力学的な障壁として働くだけでなく、重要な調節機能も担っている。一酸化窒素の発見は、血圧調節に関する理解に大変革をもたらした。これに対して、内皮由来の血管収縮因子(EDCF)については未だに解明が進んでいない。ヒト皮膚の血管からとった内皮細胞を機械的に刺激して得られる上清は、単離したラット潅流腎に血管収縮応答を引き起こす。内皮由来物質によって起こったラット単離潅流腎の血管収縮軽減には、エンドセリン受容体遮断薬よりもプリン受容体遮断薬の方が、はるかに効果が強い。刺激されたヒト内皮由来の上清から、ヌクレオチドであるウリジンアデノシン四リン酸(Up4A)が単離され、質量分析法によって同定された。Up4Aによる血管収縮は、主としてP2X1受容体を介して起こるが、P2Y2受容体とP2Y4受容体を介する場合もあるらしい。Up4Aは、健常者に見られる程度の血漿濃度でも、血管収縮を引き起こす。Up4Aは、アデノシン5′-三リン酸(ATP)、ウリジン5′-三リン酸(UTP)、アセチルコリン、エンドセリン、A23187、力学的ストレスによる刺激で内皮から放出されることから、血管の自己調節にかかわっていることが示唆される。我々の知る限りでは、Up4Aは、生物から単離されたプリンとピリミジンを両方含むジヌクレオチドとしての初めての例である。Up4Aは、まったく新しい強力な非ペプチド性EDCFと考えられる。その血管作用性と血漿濃度、また内皮刺激によって放出されることは、Up4Aが血管調節の役割を果たしていることを強く示唆している。

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