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臓器移植:NK細胞はパーフォリン依存的な機構を介して膵島同種移植に対する寛容を推進する

Nature Medicine 11, 10 doi: 10.1038/nm1296

主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII拘束性CD4T細胞の組織同種移植に対する末梢寛容への関与は広く認められているものの、この過程におけるMHCクラスI依存的反応性については殆どわかっていない。本論文では、マウスでCD154特異的な抗体療法を使った副刺激阻害、またはLFA-1(CD11aとしても知られている)のターゲッティングによって誘導された同種移植寛容に対して、MHCクラスI依存的な宿主NK細胞の反応性が重要な役割をもつことを示す。寛容の誘導には宿主でのMHCクラスIの発現が欠かせないが、CD8T細胞依存的な免疫には依存しなかった。一方、寛容にはNK1.1+細胞が関係する自然免疫が必要であったが、CD1d拘束性NKT細胞には依存しなかった。したがって、膵島同種移植に対する寛容の誘導には一般にNK細胞が必要であるらしい。さらに、CD154特異的抗体によって誘導された同種移植に対する寛容はパーフォリン依存性であることがわかった。特に、パーフォリンをもつNK細胞はパーフォリン欠失レシピエントで同種移植に対する寛容を回復させるのに十分である。まとめると、これらの結果は膵島同種移植に対する寛容の誘導には、パーフォリンを介したNK細胞の働きが必須であることを示している。

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