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C型ニーマン・ピック病ではニューロステロイド合成が妨げられており、アロプレグナノロンに反応を示す

Nature Medicine 10, 7 doi: 10.1038/nm1073

C型ニーマン・ピック(NP-C)病は、致死性で常染色体劣性の小児期に発症する神経変性疾患である。NP-Cマウスでは、コレステロールおよびスフィンゴ脂質の蓄積、神経学的症状の発症、組織病理学的傷害、プルキンエ細胞の消失、最重症型のヒトNP-Cに典型的な早期死亡が再現される。脳で合成されるステロイドであるニューロステロイドは、ニューロンの成長および分化に影響を及ぼし、神経伝達物質受容体を修飾する。コレステロール輸送の異常は、ニューロステロイド合成を途絶させることでNP-Cの表現型に関わっていると考えられる。本論文では、NP-Cマウスでは脳内ニューロステロイドの量が野生型の脳と比較してかなり少ないこと、また5α-ジヒドロプロゲステロンおよびアロプレグナノロンの合成能力が加齢にともなって低下することを報告する。免疫組織化学的解析により、5αレダクターゼおよび3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの発現レベルが低下しており、特に小脳でそれが著しいことが確認された。アロプレグナノロンを新生仔に投与したところ、神経学的症状の発症が遅れ、プルキンエ細胞および顆粒細胞の生存率が上昇し、ガングリオシド(GM2およびGM3)の皮質蓄積量が減少し、NP-Cマウスの寿命が倍に延びた。また、より早期に投与することで効果は増大した。アロプレグナノロン産生の低下はNP-Cの病態に寄与しているらしいので、ニューロステロイドの投与はこの疾患の進行を抑えるために役立つ可能性がある。

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