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Socs3のハプロ不全マウスではレプチン感受性が上昇し食餌性肥満は軽減する

Nature Medicine 10, 7 doi: 10.1038/nm1072

レプチンは脂肪細胞由来のホルモンで、主に視床下部の特異的な経路に作用することにより、エネルギーバランスや神経内分泌機能を調節する。レプチンの体重減少作用に対する抵抗性は、ヒトやげっ歯類の多くの肥満の特質だが、レプチン抵抗性の分子機構はほとんど解明されていない。我々は以前、サイトカインシグナル伝達抑制性因子3 (Socs3) は、レプチンに応答してレプチン受容体シグナル伝達を負に調節する因子であり、レプチン抵抗性のメディエーターとなっている可能性があることを明らかにした。しかし、Socs3遺伝子を標的として破壊したマウスは生存不能であるため、in vivoでのレプチン作用におけるSocs3の重要性は不明であった。in vivoのエネルギーバランスにおけるSocs3の機能的意義を明らかにするために、我々はSocs3遺伝子へテロ欠損マウス(Socs3+/-)を使って解析を行った。今回、Socs3+/-マウスは、対照である野生型マウスと比較してレプチン感受性が高いことを報告する。すなわち、Socs3+/-マウスでは、外因性レプチン投与に対する体重減少の促進と、視床下部におけるレプチン受容体シグナル伝達の増加の両方が起こる。さらに、Socs3+/-マウスでは、食餌性肥満の進行やそれに関連する代謝性合併症が有意に起こりにくくなっている。したがって、Socs3遺伝子の発現レベルは、in vivoでのレプチン感受性および肥満発症の重要な決定因子であり、この分子は治療的介入の標的となる可能性がある。

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