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CREB結合タンパク質のリン酸化を介した肝臓糖新生のインスリンによる調節

Nature Medicine 10, 6 doi: 10.1038/nm1050

肝臓での糖新生は正常な血糖値の維持に必須であり、促進的(サイクリックアデノシン一リン酸、cAMP)と抑制的(インスリン)な、相反する影響を及ぼすシグナル経路によって調節されている。cAMPシグナル伝達経路はcAMP応答配列結合(CREB)タンパク質のリン酸化を引き起こし、コアクチベーターであるCREB結合タンパク質(CBP)およびp300を動員して糖新生を活性化する。インスリンシグナル伝達ではCBPのセリン436がリン酸化される。セリン436はCBPがCREBと相互作用を行うドメインに近接した位置にあるが、このセリンのリン酸化がcAMPシグナル伝達を調節しているか否かは明らかでない。本論文では、in vitroおよびノックインマウスにおいて、変異型CBPであるS436AがCREBタンパク質へ誤って動員された結果、摂食後の糖新生の不適切な活性化や、肝臓でのグルコース合成促進に起因する耐糖能異常が惹起されることを示す。我々は、インスリンシグナル伝達は、CBPの動員を調節することにより、多くのcAMPシグナル伝達経路を転写レベルで直接制御しているのではないかと考える。

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