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ヒト膀胱癌で新たに発見された癌遺伝子CDC91L1 (PIG-U)

Nature Medicine 10, 4 doi: 10.1038/nm1010

20q11-13での遺伝子増幅はヒト癌において共通にみられる現象である。今回、膀胱癌患者で20q11の生殖系列転座切断点を同定し、この転座により発現が影響を受ける唯一の遺伝子はCDC91L1であることを突き止めた。この遺伝子は、CDC91L1(ホスファチジルイノシトールグリカン・クラスU(PIG-U)ともよばれる)をコードしており、CDC91L1はグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー形成経路に関わるトランスアミダーゼ複合体ユニットである。CDC91L1は、膀胱癌細胞系列および原発腫瘍の約3分の1で、またヒトパピローマウイルス(HPV)E7で形質転換した発癌性尿路上皮細胞中で増幅し過剰発現していた。CDC91L1を強制的に発現すると、in vitroおよびin vivoでNIH3T3細胞が悪性形質転換を起こした。また、CDC91L1の過剰発現により、GPIアンカー型タンパク質であるウロキナーゼ受容体(uPAR)の発現が増大し、これによって膀胱癌細胞ではSTAT-3のリン酸化レベルが上昇した。これらの結果は、CDC91L1が膀胱癌における癌遺伝子であることを示しており、またGPIアンカー系がヒトの癌における発癌経路に関わっており、治療の標的となる可能性があることを示唆している。

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