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発現プロファイリングは細胞骨格形成に関与するエズリンと発生に関与するホメオタンパク質Six-1が転移の重要な調節因子であることを明らかにする

Nature Medicine 10, 2 doi: 10.1038/nm966

小児の最も多くみられる軟部組織肉腫である、転移性の横紋筋肉種(RMS)の患者の臨床的な予後はきわめて悪い。その理由はおもに、転移能を支配する分子レベルの事象が十分に解明されていないことによる。我々は、転移性の高い細胞と低い細胞間で発現に有意差のある遺伝子群を同定するために、肝細胞増殖因子/散乱因子(HGF/SF)を遺伝子導入したInk4a/Arf欠損マウス由来のRMS細胞株のcDNAマイクロアレイ解析を用いた。次にin vivoで機能解析を行って、アクチンフィラメント‐細胞膜リンカーであるエズリン(Vil2がコードする)とホメオドメイン含有転写因子Six-1(sine oculis関連ホメオボックス1同族体)が、RMS細胞の転移運命を決定する重要な役割を担っていることを明らかにした。VIL2およびSIX1の発現はヒトRMS組織で上昇しており、これは臨床病期と有意に相関していた。エズリンとSix-1がRMSの転移の重要な調節因子であると明らかにされたことで、この小児癌の機序および治療に関する新たな考察ができる。

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