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小分子RITAは腫瘍内でp53に結合してp53とHDM-2間の相互作用の遮断によりp53の機能を活性化する

Nature Medicine 10, 12 doi: 10.1038/nm1146

野生型のp53を保持する腫瘍では、調節を受けなくなったHDM-2がp53に結合してプロテアソームによる分解の標的とするため、p53の腫瘍抑制作用が損なわれていることが多い。我々は化合物ライブラリーのスクリーニングを行い、腫瘍内でp53に結合してその蓄積を起こさせる小型分子を同定してRITA(reactivation of p53and induction of tumor cell apoptosis)と命名した。RITAはin vitroでもin vivoでも、p53とHDM-2との相互作用を妨げ、p53の複数の負の調節因子とp53との相互作用に影響を及ぼす。RITAは野生型のp53を発現する種々の腫瘍細胞系で、p53の標的遺伝子の発現を誘導し、大規模なアポトーシスを引き起こす。RITAは発癌遺伝子の発現下でのみヒト繊維芽細胞とリンパ芽球の増殖を抑制し、in vivoではp53依存性のかなり高い抗腫瘍効果を示した。RITAは、野生型のp53を保持する腫瘍を標的とする抗癌剤を開発する際のリード化合物となる可能性がある。

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