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大腸がん:経路レベルのサブタイプ分類によって大腸がんの臨床転帰不良に関連する細胞周期の遅い生物学的表現型が特定される

Nature Genetics 56, 3 doi: 10.1038/s41588-024-01654-5

大腸がん(CRC)のコンセンサス分子サブタイプ(CMS)に代表されるように、遺伝子レベルの転写データに基づいた分子層別化によって、疾患に特有の遺伝子型形質や表現型形質を持つサブタイプの特定が行われている。本論文では、最初の分子クラスを発見する際に、遺伝子レベルのデータではなく、遺伝子オントロジーと生物学的活性状態の情報を用いる方法について報告する。この方法によって、CRCにおける3つの生物学的経路由来サブタイプ(PDS)を定めた。PDS1腫瘍は、カノニカル/LGR5+幹細胞が豊富で、増殖性が高く、良好な予後を示す。PDS2腫瘍は、再生性/ANXA1+幹細胞が豊富で、腫瘍微小環境では間質および免疫の細胞系譜が増加している。PDS3腫瘍は、これまで見過ごされてきた、CMS2内の腫瘍の細胞周期の遅いサブセットであり、幹細胞集団が減少していて、分化した細胞系譜、特に腸細胞や腸内分泌細胞が増加しているが、局所的に進行した場合は予後が最も不良であった。このPDS3表現型形質は、多数のバルクデータセットおよび一細胞データセットで明らかであり、また、前臨床モデルでは現在評価できず、既存のサブタイプ分類法では特定されない一連の捉えにくい生物学的状態を識別するものである。

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