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メタボロミクス:血漿メタボロームのゲノムアトラスによってヒト疾患に関与する代謝物を優先順位付けする

Nature Genetics 55, 1 doi: 10.1038/s41588-022-01270-1

代謝過程は、疾患リスクに影響して、治療標的になることがある。本論文では、1091の血中代謝物と309の代謝物比についてのゲノムワイド関連解析を行うことで、690の代謝物と248座位の関連および、143の代謝物比と69座位の関連を見つけた。代謝物-遺伝子情報と遺伝子発現情報を統合することで、109の代謝物と48の代謝物比に対して94のエフェクター遺伝子を明らかにした。また、メンデルランダム化(MR)を用いて、12の形質や疾患に原因となる効果を及ぼすと推定される22の代謝物と20の代謝物比を明らかにした。これには、推定骨密度に対するオロト酸、ボディー・マス指数に対するαヒドロキシイソ吉草酸、炎症性腸疾患や喘息に対するエルゴチオネインが含まれる。さらに、別のコホートにおいてオロト酸レベルを測定すると、MRと一致して、オロト酸レベルが大腿骨頸部骨折の発症と正に関連していることが実証された。この研究は、代謝物の遺伝的構造を説明する貴重な情報資源であり、ありふれた疾患における代謝物の役割についての知見をもたらしてくれるので、代謝物を治療標的にする機会を示してくれるだろう。

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