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口臭:ヒトの新規メタンチオールオキシダーゼをコードするSELENBP1の変異は口腔外由来口臭を引き起こす

Nature Genetics 50, 1 doi: 10.1038/s41588-017-0006-7

セレン結合タンパク質1(SELENBP1)は、いくつかのがんとの関連が報告されているが、その正確な役割は不明である。本研究ではSELENBP1がメタンチオールオキシダーゼ(MTO)であることを明らかにする。メチロトローフ細菌のMTOはメタンチオールをH2O2、ホルムアルデヒド、およびH2Sに変換するが、ヒトではそのような活性の存在はこれまで知られていなかった。キャベツ様の呼気臭を呈する5人の患者において、SELENBP1の変異が同定された。悪臭は患者の呼気中に含まれる高濃度のメタンチオールおよびジメチルスルフィドに主に由来していた。MTO欠損に伴って、尿中ジメチルスルホキシドの排出が増えた。患者の繊維芽細胞ではSELENBP1タンパク質の発現レベルが低く、MTOの酵素活性が欠損していた。レンチウイルスを用いて野生型SELENBP1を発現させると、これらの機能は回復した。Selenbp1ノックアウトマウスは、ヒトの場合と類似の生化学的特徴を示した。我々のデータはMTO欠損による口臭症という、頻度の高い可能性のある先天性代謝異常の存在を明らかにするものである。

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