Letter

知能:78,308人のゲノムワイド関連メタ解析による、ヒトの知能に影響を及ぼす新規座位および遺伝子の同定

Nature Genetics 49, 7 doi: 10.1038/ng.3869

知能と、その人の経済的な豊かさや健康の状態には関連性がある。知能の遺伝率はかなり高く(0.54)、多遺伝子性の形質であることは確立されているが、これまで行われてきた遺伝学的研究のほとんどは十分なものであるとはいえなかった。今回我々は、78,308人を対象にした知能に関するメタ解析について報告する。ゲノムの18の座位において、336の関連SNP(METAL P<5×10−8)が同定され、そのうち15は新規の座位である。SNPの約半数は遺伝子内に位置しており、これらから22の遺伝子の関連が示唆されるが、そのうち11は初めて報告されるものである。遺伝子に基づく解析により、さらに30の遺伝子が同定された(MAGMA P<2.73×10−6)。そのうちの1つを除く全てが、これまで関連が報告されていなかった遺伝子である。同定された遺伝子がおもに脳組織で発現していること、また、経路解析により細胞の発生を制御する遺伝子が含まれていることが明らかになった(MAGMA competitive P=3.5×10−6)。知能の遺伝率には小児期(0.45)と成人期(0.80)とで差があることは双生児研究からよく知られているが、我々の結果では、かなり高い遺伝的相関を示していることが分かった(rg=0.89、LDスコア回帰P=5.4×10−29)。これらの知見は、知能の遺伝学的な仕組みに関する新しい洞察を提供するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度