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構造バリアント:構造の多様性がヒトの遺伝子発現に与える影響

Nature Genetics 49, 5 doi: 10.1038/ng.3834

構造バリアント(SV)は、ヒトの遺伝的多様性を生じさせる重要な要因であるが、形質、疾患、遺伝子調節にSVが及ぼす影響はまだ明らかにできていない。我々は、高精度の全ゲノム塩基配列決定(WGS)から得たSV、一塩基バリアント(SNV)、短い挿入・欠失(indel)バリアントデータを合算したジョイント解析を行った。そして、13組織においてシスに作用する発現量的形質座位(eQTL)のマッピングを行った。SVは、eQTLの3.5~6.8%の原因であると推定され、これまでの推定よりもかなり高い割合となっていた。また、発現を変化させるSVが発揮する効果量は、SNVやindelよりも大きいと推定された。遺伝子発現を直接的に変化させると予測される推定原因SVを789同定し、その大部分(88.3%)が非コードバリアントで、エンハンサーや他の調節配列に豊富に存在しており、また、52がゲノムワイド関連研究で同定された座位に関連があった。近傍の遺伝子の異常な発現に伴って大きな効果を示す希少なSVが驚くほど豊富に存在することが観察された。これらの結果から、WGSを基盤とする包括的なSV解析が、一般的および希少なバリアントとの関連研究の検出力を高めると考えられる。

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