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頭蓋咽頭腫:エキソーム塩基配列決定により乳頭型頭蓋咽頭腫にBRAFの変異を検出

Nature Genetics 46, 2 doi: 10.1038/ng.2868

頭蓋咽頭腫は典型的には脳の鞍上部に発生する上皮性の腫瘍である。患者は腫瘍の進展と治療による視交叉、下垂体柄部、視床下部の損傷による重篤な臨床経過をたどる。全エキソーム塩基配列決定を用いてエナメル上皮腫型の頭蓋咽頭腫のほぼ全例(11/12、92%)にCTNNB1(βカテニン)の変異を、乳頭型頭蓋咽頭腫の全例(3/3、100%)にBRAFの変異(p.Val600Glu置換をきたす)の頻発を見つけた。絞り込んだ遺伝子型判定を行うと、95%の乳頭型頭蓋咽頭腫(39例中36例)にBRAF p.Val600Glu変異を、96%のエナメル上皮腫型の頭蓋咽頭腫(53例中51例)にCTNNB1の変異を見つけた。CTNNB1BRAFの変異は腫瘍のそれぞれのサブタイプでクローナルであり、いずれのサブタイプについてもこれ以外の頻発変異やゲノム異常は見られなかった。エナメル上皮腫型、乳頭型頭蓋咽頭腫はそれぞれに独特のクローナルな変異を持っている。これらの所見はこの種の腫瘍の診断や治療に重要な意義がある。

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