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モモゲノム:高精度ドラフトゲノム配列情報から明らかになったモモ(Prunus persica)ゲノムに特徴的な遺伝的多様性、栽培化、ゲノム進化の様式

Nature Genetics 45, 5 doi: 10.1038/ng.2586

バラ科植物は最も重要な果実産生クレードであり、そのうち商業的価値を持つ主要な属(オランダイチゴFragaria、バラRosa、キイチゴRubus、サクラPrunus)は、多彩な生育習性と果実型、そしてコンパクトな二倍体ゲノムを持つ。モモはバラ科サクラ属の2倍体種で、遺伝子解析が最も進んだ落葉樹の1つである。今回、完全にホモ接合性の遺伝子型のモモゲノムについて、高精度ゲノム配列を得たので報告する。サンガー全ゲノムショットガン法による塩基配列決定を行い、完全な染色体サイズのゲノム配列を構築した。配列解析から、タンパク質をコードする遺伝子27,852個と非コードRNAを予測した。サクラ属系統14種類について全ゲノム配列の塩基配列再決定を行うことにより、モモの果樹としての栽培化に至る経過を検討した。その結果、 モモゲノムの多様性を実質的に形成している、主な遺伝的ボトルネックの存在が示唆された。さらに塩基配列の比較解析から、モモにおいては全ゲノム重複が最近起こっていないこと、またモモゲノムでは祖先配列のブロックが3回重複して存在しており、ブドウに比べて断片化されてはいるが、推測上の遠い祖先配列から由来した、古くからのパラログセットの7つすべてが検出可能であることが明らかになった。

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