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最小限の副次的作用で標的RNAを分解する高忠実度のCas13バリアント

Nature Biotechnology 41, 1 doi: 10.1038/s41587-022-01419-7

CRISPR–Cas13系は、近年さまざまな生物で選択的RNA分解に利用されている。しかし、バイスタンダーRNAの分解が付随するため、in vivoでの応用は限られる。今回我々は、哺乳類細胞で副次的作用を検出してCas13バリアントの選別を行うための二重蛍光レポーター系を設計した。作製した200種類以上のバリアントのうち、Cas13dおよびCas13Xを含む複数のCas13バリアントは、効率的なオンターゲット活性を示す一方で、副次的な活性が顕著に低かった。さらに、そのバリアントでは、Cas13の誘発する全トランスクリプトーム的なオフターゲットおよび細胞増殖の停止が認められなかった。高忠実度のCas13バリアントは、野生型のCas13と同様のRNAノックダウン活性を示すが、トランスジェニックマウスやアデノ随伴ウイルスを介する体細胞の標的化では副次的な障害が見いだされなかった。これにより、副次的作用を最小限に抑えた高忠実度のCas13バリアントが、基礎研究および治療への応用で、RNAの選択的分解に利用可能となった。

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