Review Article

mRNAワクチンと免疫療法の臨床的進歩

Nature Biotechnology 40, 6 doi: 10.1038/s41587-022-01294-2

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する2種類のmRNAワクチンの緊急使用許可がこのウイルスの遺伝子配列の公表から約11か月で下りたことは、この核酸技術の革新的な潜在能力を明示している。これまでのmRNA臨床応用の大部分は、一部のmRNA種および製剤の固有の免疫刺激特性ゆえに、低用量、低タンパク質発現、および局所投与で効果を発揮し得る感染症およびがんのワクチンに集中していた。さらに、mRNAコードタンパク質や細胞免疫療法の研究も開始されているが、最小の免疫刺激、標的細胞および組織でのタンパク質高発現、ならびに反復投与の必要性が、臨床化に向けた製造および製剤化の新たな課題を生じている。この流れに乗って、昨年は、第2世代の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン、オミクロン株専用の追加接種用ワクチン、ならびに季節性インフルエンザ、EBウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびがんに対する各種ワクチンに臨床的進歩が見られた。本論文では、mRNA療法の臨床的進歩を総括し、こうしたmRNA薬の背後にある革新的技術の概況および将来展望を示す。

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