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巨大系統樹を再構築する深層分散コンピューティング

Nature Biotechnology 40, 4 doi: 10.1038/s41587-021-01111-2

近年、系統推定(進化系統樹の再構築)はCRISPRを用いた細胞系譜トレーシングに転用されており、体細胞に記録された多数の変異配列から個別の組織または生物の発生過程を推定することができる。しかし、現在の計算方法では大量の入力配列から進化系統樹を構築することができない。本論文では、従来の系譜推定ソフトウエアツールの拡張性を大幅に向上させる深層分散コンピューティングの枠組みであるFRACTAL(framework to comprehensively trace accurate large lineages)を紹介する。FRACTALでは、まず入力配列の上流系譜のみを再構築し、その下流系譜については独立した計算ノードで同じ作業を再帰的に繰り返す。我々は、シミュレーションで作成した2億3500万を超える配列群と、細胞増殖中にCRISPRシステムによって変異を蓄積させるシミュレーションから得た1600万を超える細胞群から系譜を再構築することによって、FRACTALの有用性を実証した。また、FRACTALを進化系統樹の再構築と、error-prone PCR(EP-PCR)を用いた大規模な配列多様化の実験に応用することにも成功した。

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