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バルク塩基配列解読データと単一細胞塩基配列解読データを統合して表現型に関連する亜集団を特定する

Nature Biotechnology 40, 4 doi: 10.1038/s41587-021-01091-3

単一細胞RNA塩基配列解読法(scRNA-seq)は、不均質な組織の細胞のタイプ、状態、系統を識別する。しかし、従来の単一細胞データでは、細胞クラスターを特定の表現型に直接結び付けることができない。本論文では、ある特定の表現型に関連する単一細胞データから細胞亜集団を見いだすScissorという方法を紹介する。Scissorは、まず各単一細胞試料と各バルク試料の間の類似性を定量化することにより、表現型に関連するバルク発現データと単一細胞データを統合する。次に、試料の表現型で相関行列の回帰モデルを最適化して、関係する亜集団を特定する。肺がんのscRNA-seqデータセットにScissorを応用したところ、生存率低下とTP53変異に関連する細胞サブセットが見いだされた。黒色腫では、PDCD1CTLA4の低発現とTCF7の高発現を示し、免疫療法への応答に関連するT細胞亜集団が見いだされた。Scissorは、がん以外でも、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーとアルツハイマー病のデータセットの解釈に有効であった。Scissorは、表現型データセットとバルクオミクスデータセットを利用することにより、単一細胞アッセイから生物学的および臨床的に関係する細胞亜集団を特定する。

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