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Cas9が誘導するアダプターの連結による選択的なナノポア塩基配列解読

Nature Biotechnology 38, 4 doi: 10.1038/s41587-020-0407-5

近年は塩基配列解読法に改善が見られるが、高い解読深度と網羅的なバリアント検出を実現する方法が今なお求められている。既存の方法は、本来の修飾の喪失、リード長の短さ、必要とされる投入量の多さ、収率の低さ、またはプロトコールの長さが制約となっている。本論文では、ナノポアCas9選択的塩基配列解読法(nCATS)を紹介する。これは、Cas9による染色体DNAの選択的切断を利用してナノポア塩基配列解読用のアダプターを連結させる強化法である。nCATSは、ハプロタイプ分解的な一塩基バリアント、構造多型、およびCpGメチル化の同時評価が可能であることが示された。我々は、細胞株4種類、細胞株由来の異種移植片、正常な初代ヒト乳房組織、および対をなす腫瘍/正常初代ヒト乳房組織にnCATSを用いた。解読カバー率の中央値は、MinIONフローセルで675倍、小型のFlongleフローセルでは34倍であった。nCATS塩基配列解読法はゲノムDNAの必要量が約3 μgにすぎず、一回の反応で多数の座位を標的とすることができる。この方法は、研究および臨床でのロングリード塩基配列解読法の使用を促進すると考えられる。

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