エロリジンのナノポアによる20種類のタンパク質構成アミノ酸の電気的認識

ナノポアで単一タンパク質分子のアミノ酸配列を解読する研究では、全20種類のアミノ酸分子の微妙な差異を識別するのに十分な感度をもつ技術が存在しないことが障害となっている。本論文では、全20種類のタンパク質構成アミノ酸のイオン電流を短いポリカチオン性担体の補助によってエロリジンのナノポアで検出する方法を紹介する。分子動力学シミュレーションを用いることにより、エロリジンのナノポアはポリカチオン性担体に結合したアミノ酸をエロリジンの感知領域内に完全に閉じ込める固有の単一分子トラップを有することが明らかになった。この構造的特徴により、個々のアミノ酸は、排除体積を高感度で測定するのに十分な時間を細孔内で費やすことになる。20種類の天然アミノ酸のうち13種類は、野生型エロリジンでの異なる電流遮断によって識別されることが分かった。さらに、化学修飾、機器の進歩、およびナノポアエンジニアリングによって残り7種類を識別するための方策が得られることも示された。こうした知見は、ナノポアによるタンパク質アミノ酸配列解読に道を開く可能性がある。