Letter

バイサルファイトを用いずに、5-メチルシトシンおよび5-ヒドロキシメチルシトシンを塩基分解能で直接検出する

Nature Biotechnology 37, 4 doi: 10.1038/s41587-019-0041-2

バイサルファイト塩基配列解読法は、数十年前から、5-メチルシトシン(5mC)や5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)などのDNA修飾をマッピングするための標準的な技術となっている。しかし、この激しい化学処理ではDNAの大部分が変性し、得られる塩基配列解読ライブラリーの複雑性が低下する。本論文では、バイサルファイトを用いずに5mCおよび5hmCを塩基レベルの分解能で検出する塩基配列解読法TAPS(TET-assisted pyridine borane sequencing;TETによるピリジンボラン塩基配列解読法)を紹介する。TAPSは、5mCおよび5hmCの5-カルボキシルシトシン(5caC)へのTET(ten-eleven translocation)酸化と、5caCのジヒドロウラシル(DHU)へのピリジンボラン還元を組み合わせている。続くPCRでDHUはチミンに変換され、5mCと5hmCのCからTへの変換が可能になる。TAPSは、非修飾シトシンに作用することなく、高い感度および特異性で修飾を直接検出する。この方法は非破壊的で、DNA断片を10キロ塩基にわたって保存する。我々は、マウス胚性幹細胞の5mCと5hmCの全ゲノムマッピングにTAPSを応用した。その結果、TAPSは、バイサルファイト塩基配列解読法と比較して、マッピング率が高く、カバー率の均一度が高く、塩基配列解読コストが低いため、高品質で網羅性の高い経済的なメチローム解析が可能になることが示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度