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特集: 再生医療特集

再生医療は、臨床現場で現在行われている造血幹細胞療法から、ヒト胚性幹細胞やヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)に由来する治療法まで、多岐にわたっている。米国では現在、10種類の細胞療法が実用化されており、造血系再構築(HemacordやDucordなど)から、歯肉歯槽粘膜の外傷の治療(Gintuit)や軟骨修復(Carticel)、果ては重度のしわを修復する美容整形(LaVive)にまで用いられている。

細胞療法は、他の多くの生物医学的領域と比較して、実用化までの道のりが複雑である。異論の少ない成体幹細胞療法でも、スケールアップには革新的な発想と新しい送達系が要求される(Commentary, p. 729)。多能性幹細胞に由来する治療法の開発はさらに厳しい課題に直面しているが、いくつかの研究グループが、加齢黄斑変性、不応性血小板減少症、表皮水疱症(Nat. Biotechnol. 31, 483-486, 2014)、糖尿病などの疾患に関して、治療法の臨床化を推進している。再生医療による治療法の臨床化では、規制問題(Podcast参照、Correspondence p. 721)以外にも、倫理上の問題や政治的問題(Correspondence, p. 724)、法的な問題(Patent Article, p. 742Patent Table, p. 749)が関係する。そうした難しい状況にもかかわらず、細胞療法製品の実用化を促進するための具体的な計画が、各国で立ち上げられている(Feature p. 736)。

研究界では、細胞生物学と工学との交点での進歩を通じて、研究の進展が加速している。移植細胞の免疫拒絶の問題は、全ての同種細胞療法の重要な一側面である。臨床現場での数十年にわたる実質臓器と造血細胞の移植の経験からは、免疫抑制に関する重要な教訓が得られており、特に細胞療法への応用を念頭においた新しい寛容誘導戦略の開発が進められている(Review, p. 786)。細胞療法が改良されるかどうかは、患者に移植した細胞の運命が明らかにされるかどうかにかかっている。Frank、Murryらは、細胞の運命と再生の程度を評価する臨床イメージング法の能力と限界を総説している(Review, p. 804)。取り扱いの難しい細胞の場合には、従来の臓器全体の移植の方が、細胞にとって本来の微小環境が保持されるため、細胞療法と比較して容易である。3Dバイオプリンティングは、従来の組織工学技術のハイテク版であり、移植可能な組織や臓器を実験室で作製し、深刻なドナー臓器不足に対処することを目指している(Review, p. 773News Feature, p. 716)。

一部の疾患については、低分子、タンパク質、もしくは生体材料を用いて、休眠した再生の分子経路を活性化させるか、または新たな経路を導入することにより、細胞療法が完全に回避される可能性がある。Wattらは、幹細胞ニッチの操作による再生増強の見通しを検討している(Review, p. 795)。  発生と疾患のin vitroモデルを作製する技術の革新により、組織再生の研究とそうした過程を制御する薬剤の探索が促進されている。微小流体工学による「臓器オンチップ」は、細胞のパターン形成と微小環境条件の制御が従来の細胞培養法以上に正確であるため、臓器レベルの機能の再現が有望視されている。再生医療では、薬剤の試験と臓器の発生・生理・病理研究への応用が期待されている(Perspective, p. 760)。また、Ken Garberは、疾病機序の研究と薬剤候補のスクリーニングを目的に、ニューロン様細胞とグリア様細胞を作製する手段として患者由来のiPS細胞株の利用を検討している(News Feature, p. 712)。社説は、治療法の多様性が再生医療の可能性を実現する上で重要だと論じている(Editorial, p. 699)。

Editorial

News

Feature

Recent patent applications in stem cell reprogramming

p.749

doi: 10.1038/nbt.2995

Opinion and Comment

An FDA perspective on preclinical development of cell-based regenerative medicine products

p.721

doi: 10.1038/nbt.2971

Harmonizing standards for producing clinical-grade therapies from pluripotent stem cells

p.724

doi: 10.1038/nbt.2973

成体幹細胞療法の臨床移行を再考する

Rethinking clinical delivery of adult stem cell therapies p.729

doi: 10.1038/nbt.2970

The global intellectual property landscape of induced pluripotent stem cell technologies

p.742

doi: 10.1038/nbt.2975

News

次世代AMD治療薬と画期的新薬の併用

Next-generation AMD drugs to wed blockbusters p.701

doi: 10.1038/nbt0814-701

著効症例に的を絞るがんセンター

Cancer centers zero in on exceptional responders p.703

doi: 10.1038/nbt0814-703

血友病Aの長期持続型治療薬

Long-life agent for hemophilia A p.704

doi: 10.1038/nbt0814-704c

アイデニクス社の「ヌーク」に賭けるメルク社

Merck bets on Idenix 'nuke' p.704

doi: 10.1038/nbt0814-704b

日本が最初に承認した抗HCV薬併用療法

Japan's HCV cocktail first p.704

doi: 10.1038/nbt0814-704a

シャイア社がルメナ社を脂肪肝治療薬ごと買収

Shire gobbles up Lumena and its fatty liver pills p.705

doi: 10.1038/nbt0814-705

EMAがデュシェンヌ型筋ジストロフィーの「読み過ごし」治療薬を見直し

EMA reconsiders 'read-through' drug against Duchenne muscular dystrophy following appeal p.706

doi: 10.1038/nbt0814-706

抗体の特許クレームが厳格化

Antibody patent claims tighten p.707

doi: 10.1038/nbt0814-707b

産業界が片頭痛用の抗CGRP抗体に注目

Anti-CGRP antibodies for migraine turn industry heads p.707

doi: 10.1038/nbt0814-707a

インスリン初のバイオ後発薬

First insulin biosimilar p.707

doi: 10.1038/nbt0814-707c

なじみの薄い研究機関のバイオ特許が急増

Biotech patents surge from institutions off the beaten track p.708

doi: 10.1038/nbt0814-708

世界の一か月

Around the world in a month p.709

doi: 10.1038/nbt0814-709f

ロシュ社、ジェニア社を買収

Roche snaps up Genia p.709

doi: 10.1038/nbt0814-709a

嚢胞性繊維症の併用療法が第III相試験の評価項目を達成

Cystic fibrosis combo treatment meets phase 3 endpoints p.709

doi: 10.1038/nbt0814-709c

植物バイオマス酵素へのオープンアクセス

Plant biomass enzymes open access p.709

doi: 10.1038/nbt0814-709e

年1回の糖尿病薬

Once-yearly diabetes drug p.709

doi: 10.1038/nbt0814-709b

米国マサチューセッツ州でのバイオ後発薬転換

Biosimilar substitution in Massachusetts p.709

doi: 10.1038/nbt0814-709d

医薬品パイプライン: 2014年第2四半期

Drug pipeline: 2Q14 p.710

doi: 10.1038/nbt.2990

2014年第2四半期:バイオ技術分野の業績が改善

2Q14—Biotech corrected p.711

doi: 10.1038/nbt.2976

Bioentrepreneur

2013年の臨床橋渡し研究者トップ20

Top 20 translational researchers in 2013 p.720

doi: 10.1038/nbt.2986

News & Views

ヒツジとヤギを分けるゲノミクス

Genomics separates the sheep from the goats p.754

doi: 10.1038/nbt.2985

Computational Biology

高次元免疫データの効果的な共有に向けて

Toward effective sharing of high-dimensional immunology data p.755

doi: 10.1038/nbt.2974

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