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複合的な低分子阻害が発生のタイミングを加速してヒト多能性幹細胞を侵害受容器に転換する

Nature Biotechnology 30, 7 doi: 10.1038/nbt.2249

ヒト多能性幹細胞(hPSC)を神経など特定の種類の細胞に分化させるシグナル伝達経路の同定には、大きな進歩が見られている。しかし、外因性の因子によるhPSCの分化は低速で段階的な過程であり、ヒトの発生のように長い時間を要する。我々は、低分子のスクリーニングにより、75%以上の効率で10日以内の分化期間にhPSCから神経細胞を生ずる5種類の低分子経路阻害剤の組み合わせを発見した。得られた神経細胞は標準的なマーカーを発現し、テトロドトキシン(TTX)抵抗性、SCN10A依存的なナトリウム電流、およびATPやカプサイシンのような痛覚刺激に対する応答など、ヒト侵害受容器の機能的特性を示した。in vivoでの発生と比較して約3倍の速度でニューロンの運命を獲得したことは、低分子経路阻害剤を用いることがin vitroの発生タイミングを加速させるための一般的な戦略となる可能性を示唆している。迅速かつ高効率に侵害受容器が誘導されることにより、ヒトの痛覚を研究するための医学的な意味のある細胞はかつてないほど手近なものになる。

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