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遺伝子組換え植物DNAのヒト消化管内安定性の評価

Nature Biotechnology 22, 2 doi: 10.1038/nbt934

遺伝子組換え(GM)植物の摂取によって導入遺伝子がGM植物から腸内微生物叢および腸細胞に移行する可能性が懸念されている。食餌中のGM植物に由来するDNAのヒト腸内安定性は明らかにされていない。今回我々は、回腸造瘻術を受けた被験者(回腸末端が切断され、便が人工肛門から結腸瘻バッグに排泄される)で、GMダイズ由来の導入遺伝子epspsの小腸内安定性を調べた。小腸を通過した導入遺伝子の量は被験者間の差が大きく、1例の人工肛門から3.7%回収されたのが最大であった。GMダイズを摂取した健常被験者の消化管では導入遺伝子が回収されなかった。回腸造瘻被験者7例中3例では、この実験以前にGMダイズから小腸内微生物叢に低頻度で遺伝子が移行していたことが示された。小腸内微生物叢が少量もっていたepspsがGMダイズ含有食摂取後に増加しなかったことから、この摂食実験中には遺伝子移行が起こらなかったと結論づけた。

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