Nature ハイライト

材料科学:ナノチューブにおける増強された光起電力効果

Nature 570, 7761

市販の太陽電池では、異なる半導体間の界面やドーピングの異なる半導体間の界面における電子と正孔の分離を利用して電気が作られる。しかし、物質を構成する格子の反転対称性が破れていれば、界面が存在しなくても電荷キャリアの分離が起こり得る。今回Y Zhangたちは、この結晶対称性の破れに加えて、二硫化タングステンのナノチューブの極性が光起電力効果を増強させることを示している。著者たちは、この光起電力効果の増強が、ベリー接続に関係するトポロジカル量によって記述される非線形光学効果に起因して生じるシフト電流に由来すると提案している。今回の結果は、太陽光環境発電におけるナノ物質の可能性を実証するとともに、効率をさらに高めるには結晶対称性の制御が重要であることを明らかにしている。

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