Nature ハイライト

構造生物学:細菌内膜からのリポ多糖の移動

Nature 567, 7749

リポ多糖(LPS)はグラム陰性細菌外膜の主要な構成成分で、膜構造の完全性維持に重要な役割を担っており、また多くの抗生物質の細胞内への進入を制限する防護壁としても機能している。LPSの生合成は細胞質で始まり、内膜の外層で完了する。内膜ではタンパク質複合体が膜と膜をつなぐ橋を形成していて、これが内膜から細胞表面へのLPSの輸送を仲介する。LPSが外膜から引き抜かれる際の機構は数年前に明らかにされている。今回、M LiaoとD Kahneのグループはそれぞれ、LPSがその濃度勾配に逆らって内膜から一方向だけに輸送される仕組みの構造学的、生化学的証拠を示している。これは、完全な内膜輸送複合体LptB2FGCのLPSを含む状態と含まない状態、またヌクレオチドが結合していない状態とバナジン酸によって捕捉された状態について初めて得られた構造情報である。これらから明らかになった輸送モデルはABC輸送体の新しい調節機構を示していて、以前のモデルが正しくないことが明らかになった。LPSは細菌の生存に必要とされ、LPSを膜から引き抜く経路は抗生物質の標的となることが明らかになりつつある。そのため、今回の構造は創薬に重要な情報を提供することになるだろう。

2019年3月28日号の Nature ハイライト

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