Editorials
コンゴ民主共和国で続いているエボラ出血熱の大流行を食い止めるには、まずは国民の不信感を払拭すべく、研究者たちが地域社会との信頼関係を構築すべきだ。
Building trust is essential to combat the Ebola outbreak p.433
doi: 10.1038/d41586-019-00892-6
老齢期の脳でもニューロンは新生していて、これがアルツハイマー病患者では低下しているという意外な発見には議論もあるが、新しい治療法への希望も生まれる。
Debate about birth of new neurons in adult brains extends to Alzheimer’s disease p.433
doi: 10.1038/d41586-019-00891-7
News
アポロ時代の月の岩石試料を現代の最新技術を用いて新たに解析しようという計画が。
Fresh look at Apollo Moon rocks reveals Solar System secrets p.441
doi: 10.1038/d41586-019-00963-8
ヨーロッパの国際研究チームが、東南極の厚さ2.75 kmの氷床の下から約150万年前の氷を掘削する計画を。
Antarctic project to drill for oldest-ever ice core p.442
doi: 10.1038/d41586-018-07588-3
カナダの2019年度予算では、昨年と打って変わって基礎科学は手薄だが、大学院生への奨学金の拡充が。
Canada budget overlooks basic research p.443
doi: 10.1038/d41586-019-00852-0
WHOの諮問委員会が、ヒトゲノム編集研究を登録制にすべきとWHOに提言を。
World Health Organization panel weighs in on CRISPR-babies debate p.444
doi: 10.1038/d41586-019-00942-z
米国トランプ大統領が、大学に対し、研究資金の受給条件として「言論の自由」の保障を要求。
Universities spooked by Trump order tying free speech to grants p.445
doi: 10.1038/d41586-019-00962-9
News Features
神経科学:痛みの性差
Why the sexes don’t feel pain the same way p.448
痛みを生じる機序は1つだと長らく考えられてきたが、痛みの経路は性別によって異なることが明らかになり、生物学的な性別を超えて多様である可能性も出てきた。
doi: 10.1038/d41586-019-00895-3
News & Views
エピジェネティクス:核のヒストンを修飾するセロトニン
Modification of histone proteins by serotonin in the nucleus p.464
ヒストンタンパク質の機能は、特定の化学基の付加や除去を通して変わることがある。今回、セロトニン分子の付加が、遺伝子発現に影響を及ぼす可能性があるヒストン修飾であることが新たに見いだされた。
doi: 10.1038/d41586-019-00532-z
材料科学:太陽電池のための電荷輸送の改善
Solar cells boosted by an improved charge-carrying material p.465
ある種の有望な太陽電池の商品化は、作製に必要な構成要素に伴う問題によって妨げられてきた。今回、これを解決できる可能性がある方法が報告された。
doi: 10.1038/d41586-019-00936-x
ウイルス学:デングとジカのクロストーク
Effects of dengue immunity on Zika virus infection p.467
南北アメリカ大陸での2015年のジカ熱大流行の爆発的な拡大に寄与した要因は、よく分かっていない。今回、新たな解析によって、それ以前のデングウイルスへの曝露とジカウイルス感染との関係が調べられた。
doi: 10.1038/d41586-019-00868-6
量子物理学:単一原子のアレイ作製に向けた次なるステップ
The next step in making arrays of single atoms p.468
今回、3報の論文によって、二次元アレイにおける単一のストロンチウム原子とイッテルビウム原子の冷却と捕捉が実証された。こうしたアレイは、原子時計技術や、量子シミュレーションと量子コンピューティングの進歩につながる可能性がある。
doi: 10.1038/d41586-019-00935-y
材料科学:柔粘性結晶による冷却
Refrigeration based on plastic crystals p.470
柔粘性結晶と呼ばれる物質は、室温に近い温度で小さな圧力をかけると温度が大きく変化することが、今回分かった。こうした物質は、将来の冷却技術の基礎になる可能性がある。
doi: 10.1038/d41586-019-00974-5
構造生物学:徐々に輸送されるリポ多糖
Ratcheting up lipopolysaccharide transport p.471
特定の細菌の2枚の細胞壁の膜の間でリポ多糖と呼ばれる分子を動かすタンパク質複合体は、薬剤の標的である。今回、この複合体の構造から、リポ多糖を不可逆的に輸送する仕組みが明らかになった。
doi: 10.1038/d41586-019-00802-w
Analysis
がん遺伝学:ヒトがんにおける「がんヒストン」変異の広がりつつある全体像
The expanding landscape of ‘oncohistone’ mutations in human cancers p.473
doi: 10.1038/s41586-019-1038-1
Articles
肺がん:肺がんの進化におけるネオアンチゲンに方向付けられた免疫逃避
Neoantigen-directed immune escape in lung cancer evolution p.479
doi: 10.1038/s41586-019-1032-7
構造生物学:LptB2FGC複合体によるリポ多糖抽出の構造基盤
Structural basis of lipopolysaccharide extraction by the LptB2FGC complex p.486
doi: 10.1038/s41586-019-1025-6
Letters
量子物理学:雑音のある量子プロセッサーの計算範囲を拡張する誤り軽減
Error mitigation extends the computational reach of a noisy quantum processor p.491
doi: 10.1038/s41586-019-1040-7
物性物理学:CoSiにおける長いフェルミアークを持つ非従来型カイラルフェルミオンの観測
Observation of unconventional chiral fermions with long Fermi arcs in CoSi p.496
doi: 10.1038/s41586-019-1031-8
物性物理学:ヘリコイドアーク量子状態を持つトポロジカルカイラル結晶
Topological chiral crystals with helicoid-arc quantum states p.500
doi: 10.1038/s41586-019-1037-2
材料科学:柔粘性結晶における巨大圧力熱量効果
Colossal barocaloric effects in plastic crystals p.506
doi: 10.1038/s41586-019-1042-5
太陽エネルギー:ポリ(3-ヘキシルチオフェン)を用いる安定かつスケーラブルな高効率ペロブスカイト太陽電池
Efficient, stable and scalable perovskite solar cells using poly(3-hexylthiophene) p.511
doi: 10.1038/s41586-019-1036-3
生物地球化学:中国の水質回復のための窒素管理
Managing nitrogen to restore water quality in China p.516
doi: 10.1038/s41586-019-1001-1
がん治療:組織球性新生物の患者におけるMEK阻害の有効性
Efficacy of MEK inhibition in patients with histiocytic neoplasms p.521
doi: 10.1038/s41586-019-1012-y
免疫学:ゲノム規模の解析からNR4A1がT細胞機能不全の主要メディエーターであることが明らかになった
Genome-wide analysis identifies NR4A1 as a key mediator of T cell dysfunction p.525
doi: 10.1038/s41586-019-0979-8
免疫学:NR4A転写因子群は固形腫瘍におけるCAR T細胞機能を制限する
NR4A transcription factors limit CAR T cell function in solid tumours p.530
doi: 10.1038/s41586-019-0985-x
エピジェネティクス:ヒストンのセロトニン化は、TFIIDのH3K4me3への結合を促進する許容修飾である
Histone serotonylation is a permissive modification that enhances TFIID binding to H3K4me3 p.535
doi: 10.1038/s41586-019-1024-7
乳がん:グルココルチコイドは乳がん転移を促進する
Glucocorticoids promote breast cancer metastasis p.540
doi: 10.1038/s41586-019-1019-4
分子生物学:BRCA1の動員が停止中のRNAポリメラーゼのMYCNによる蓄積を制限する
Recruitment of BRCA1 limits MYCN-driven accumulation of stalled RNA polymerase p.545
doi: 10.1038/s41586-019-1030-9
構造生物学:リポ多糖の細胞表面への一方向輸送の構造基盤
Structural basis of unidirectional export of lipopolysaccharide to the cell surface p.550
doi: 10.1038/s41586-019-1039-0