Nature ハイライト

素粒子物理学:まれな崩壊を探して

Nature 544, 7648

GERDA実験では、ゲルマニウム検出器を液体アルゴン中で動作させて<sup>76</sup>Geのニュートリノレス二重β崩壊を探索している。画像は、ゲルマニウム検出器を液体アルゴンに沈めるところを上から見た様子。
GERDA実験では、ゲルマニウム検出器を液体アルゴン中で動作させて76Geのニュートリノレス二重β崩壊を探索している。画像は、ゲルマニウム検出器を液体アルゴンに沈めるところを上から見た様子。 | 拡大する

Credit: M. Heisel, GERDA collaboration

ニュートリノの性質は、素粒子物理学における最も不可解な側面の1つである。標準模型の拡張版の大半では、ニュートリノはそれ自身の反粒子であると仮定されており、こうした粒子はマヨラナフェルミオンと呼ばれている。もしニュートリノが自身の反粒子なら、まだ検出されていない非常にまれな二重β崩壊と呼ばれる放射性崩壊が存在するはずである。まれな崩壊を発見するため、あるいはその崩壊の存在にさらに厳しい制限を課すためには、バックグラウンド事象の抑制が不可欠である。今回、GERDA Collaborationは、35.6 kgのゲルマニウム76におけるニュートリノレス二重β崩壊の探索について報告している。巧妙なバックグラウンド除去系を用いることで、この分野で長く待ち望まれていた、本質的にバックグラウンドのない環境での探索が可能となり、その結果、この崩壊の半減期の下限が5.3 × 1025年であると決定された。今回のバックグラウンド抑制技術によって、近い将来、半減期感度約1027年までのバックグラウンドのない探索が可能になるはずである。

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