Nature ハイライト

物理学:細菌の集団振動

Nature 542, 7640

近年、自己推進粒子を多数含む「アクティブマター」系において、集団挙動のさまざまな効果が報告されている。そうした研究からは、さまざまなスケールで生体系における組織化を理解する手掛かりや、スマート材料の設計戦略のヒントが得られる。今回Y Wuたちは、大腸菌(Escherichia coli)の高濃度懸濁液を調べ、集団振動運動という注目すべき効果を観察した。すなわち、個々の細菌は不規則に動くが、数十または数百マイクロメートルにわたって平均すると、定常的な同期振動が明らかになる。著者たちは、完全に局所だけで相互作用をするノイズの多い自己推進粒子という、観察結果を説明可能なモデルを提示している。こうした振動挙動は、アクティブマターにおける自己組織化の研究に新しい方向を示す可能性がある。

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