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地形学:氷河侵食に影響を及ぼす要因

Nature 526, 7571

氷河侵食は、地球の景観の形成に重要な役割を果たしているが、氷河侵食の長期的な影響を定量化するこれまでの試みは包括的なものであって、矛盾を含んでいることが示されている。極に近づくにつれて、気温が低くなって融解水の生成が抑えられるため、氷河のすべり、侵食、堆積物輸送が少なくなり、氷河侵食速度が低下すると予想される。今回、パタゴニアから南極半島までの温暖な温度レジームから極域氷河の温度レジームまでカバーする15か所の流出氷河で得られた、侵食データと速度データが報告されている。このデータセットから、過去100年間に流域平均の侵食速度が、この緯度トランセクトに沿って気候の関数として3桁変化していることが明らかになった。著者たちは、氷量、氷フラックス、すべり速度よりも、気候と氷河の温度レジームが侵食速度をより大きく支配していると提案している。

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