Nature ハイライト

生物無機化学:ニトロゲナーゼの作用の化学合成モデル

Nature 526, 7571

一部の微生物中に見られるニトロゲナーゼは、大気中の窒素を室温でアンモニアに変換できる。これは、工業的な窒素肥料製造に用いられる窒素固定過程に、高い温度と高い圧力が必要であるのと全く対照的である。ニトロゲナーゼには、大気中N2を硫黄が豊富な鉄–モリブデンクラスターであるFeMo補因子の部位で還元するものがあるが、その正確な分子機構はまだ分かっていない。今回P Hollandたちは、FeMo補因子作用の有力なモデルについて報告している。著者たちは、硫黄豊富な配位圏を持つ合成錯体が、還元によってFe–S結合を切断してN2と結合することを示した。その生成物は、初めて報告される合成Fe–N2錯体であり、鉄が硫黄原子と炭素原子と結合しているというFeMo補因子の配位の重要な特徴を持つ。

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