Nature ハイライト

古生態学:ケナガマンモスが歩き回っていた場所

Nature 506, 7486

マンモス、ウマ、トナカイ、バイソン、ジャコウウシのいる更新世の風景。
マンモス、ウマ、トナカイ、バイソン、ジャコウウシのいる更新世の風景。 | 拡大する

Credit: Mauricio Anton

第四紀後期の極北ユーラシアの景観を考える際になじみ深いのは、マンモスなどの現在は絶滅している大型動物が多数、イネ科植物に覆われた「マンモスステップ」のツンドラで草をはんでいる様子を描いた想像図だ。この年代の植生の分析は、主として化石花粉のデータに基づいて行われてきた。しかし今回、北極域各地から収集した植物および線虫のDNA分析という、もっと直接的な方法を使った研究が報告された。その結果は、これまでの予想とかなり異なっており、イネ科植物の優占に疑義を呈するとともに、多様な大型動物相を維持するのにイネ科植物の優占が必要ではなかった可能性を示唆している。約1万年前まで、北極の植生には、イネ科型草本植物(graminoid;アシ類を含むイネ科、カヤツリグサ科など)ではない、タンパク質の豊富な双子葉類草本が多く含まれており、それらがこの多様な北方生態系の維持に大きな役割を果たしていたと考えられる。しかし、最終氷期極大期を過ぎると、木本植物およびイネ科型草本が優占するようになった。研究チームは、ケナガマンモスやケサイ、バイソン、ウマなどの大型動物相が、イネ科草本のみを食べる狭食性ではなく、状況に応じてそれ以外の草本植物も食べる日和見的な食性であったのではないかと結論している。

2014年2月6日号の Nature ハイライト

目次へ戻る

プライバシーマーク制度