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Cover Story:シーラカンスのゲノム:ゲノム塩基配列は古代の1つの系統からの進化と陸生脊椎動物の出現への道を記録している

Nature 496, 7445

タンザニア沖で撮影されたアフリカシーラカンス。
タンザニア沖で撮影されたアフリカシーラカンス。 | 拡大する

Credit: Aquamarine Fukushima

表紙は、南アフリカのソドワナ湾で撮影されたアフリカシーラカンス(Latimeria chalumnae)とダイバーの写真である。シーラカンスは7000万年前に絶滅したと考えられていたため、1938年に南アフリカ沿岸でこの魚が漁網にかかったことは世界中から注目を集めた。今回、アフリカシーラカンスのゲノム塩基配列が解読され、陸生脊椎動物に最も近縁なのはどの肉鰭類魚類の現生種なのかという、ずっと以前からの疑問が系統ゲノミクス的分析により解決された。それは、シーラカンスではなくハイギョだったのである。シーラカンスのタンパク質をコードする遺伝子は進化が緩やかで、このことによって現代のシーラカンスが3億年前の化石祖先とよく似ていることがおそらく説明されるだろう。遺伝子や調節因子の変化が調べられ、脳、鰭の発達、免疫や窒素排泄などの要素が脊椎動物の陸上生活への適応に重要であることが明らかになった。

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