Nature ハイライト

材料:ひずむと強くなる

Nature 496, 7445

ほとんどの材料は、ひずませていくと弱くなり、ついには破壊される。しかし例外もある。ひずませると剛くなるひずみ剛化(strain stiffening)は、血管や皮膚などの複雑な生体系では普通に見られ、柔組織が過剰に変形しないように保護している。この現象は、結晶固体ではまれなのだが、C JiangとS SrinivasanはFe3C(炭化鉄)とAl3BC3(ホウ炭化アルミニウム)でも可逆的なひずみ剛化が起こり、これらの現象には異なる機構が働いていることを量子力学計算で明らかにしたと報告している。Fe3Cでひずみ剛化が起こることは、技術的に特に関心を集めそうだ。Fe3Cはセメンタイトとも呼ばれ、炭素鋼に見られる析出物だからである。したがって、これらの結果は、鉄鋼などの構造材料の硬さと強度を予測するモデルの開発に役立つ可能性がある。

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