Nature ハイライト

進化:目的にかなった進化上の変化

Nature 468, 7326

進化の過程で適応度を損なうことなく新しい表現型が導入される仕組みは、分子レベルではほとんど解明されていない。今回、3種類の子嚢菌酵母を使って、接合型の決定を分子レベルで詳しく比較した一連の実験から、進化の過程で起こった転写調節回路の構造変化(1つの新しい調節因子の挿入)が明らかになった。このために、古くからある調節形態は維持したまま、重要な新しい表現型が生じている。この新しい変化によって、キラー酵母(Kluyveromyces lactis)は栄養素の供給が不足したときにだけ接合する、つまり餌の有無によって行動を変化させるようになる。この振る舞いは、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)やヒトのカンジダ症病原菌であるCandida albicansではみられない。

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