Nature ハイライト 生態:雌が超音波を出すカエル 2008年6月12日 Nature 453, 7197 中国に生息するOdorrana tormotaという夜行性で樹上生活をするカエルは、流れの速い渓流の周辺の雑音の多い環境で暮らしており、超音波によるコミュニケーションを発達させている。新たな研究によって、このシステムがいかに巧妙なものになっているかが明らかになった。カエルのほとんどの種では、音声による自己アピールは雄が行う。しかし、O. tormotaでは雌が産卵の時期に超音波シグナルを出し、雄は誤差1〜2 °という高精度でシグナルを発する雌の位置を特定できる。この精度は、脊椎動物で最も高精度の定位を行うフクロウ、イルカ、ゾウ、ヒトに匹敵する。O. tormotaのこの定位精度は、頭部が小さいことを考えるとさらに目覚ましいものだといえ、高周波の聴き取りには、周囲の雑音による遮蔽を回避できることに加えて、選択上の付加的利益があることが示唆される。 2008年6月12日号の Nature ハイライト 脳:fMRIの正しいイメージ 神経科学:食欲と薬物依存 物理:極低温でアンダーソン局在をみる 物性:オキシプニクタイド超伝導の最新研究 化学:ヒドロキシメチレンの短い一生 生態:雌が超音波を出すカエル 医学:動物モデルが答えを出す 医学:γ-セクレターゼモジュレーターの標的 遺伝:性決定とSRY 目次へ戻る