Nature ハイライト

惑星科学:火星における湖の洪水

Nature 597, 7878

火星の地形図に見られる、湖水盆地(中央)と、湖の決壊による洪水で形成された峡谷(盆地の縁から北西に延びている線状の低地)の例。
火星の地形図に見られる、湖水盆地(中央)と、湖の決壊による洪水で形成された峡谷(盆地の縁から北西に延びている線状の低地)の例。 | 拡大する

Credit: THEMIS (NASA/JPL-Caltech/Arizona State University) and MOLA (NASA/GSFC/MOLA Science Team), Timothy A. Goudge.

初期の火星では、表層水が河谷を浸食し、湖水盆地を満たしていたと考えられている。これまで、火星の渓谷系は主に段階的な河食を記録していると考えられてきた。今回T Goudgeたちは、全球規模では、湖の決壊による洪水が、初期の火星の切り込まれた渓谷の体積の24%を急速に浸食したことを明らかにしている。得られた知見は、湖の決壊による洪水が、初期の火星において渓谷の切り込みの原因となった主要な地形形成過程であり、これが次いで、火星のより幅広い景観の地形に影響を及ぼしたことを示唆している。

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