Nature ハイライト

Cover Story:原子がはっきり見えた:単粒子クライオ電子顕微鏡によって実現された原子分解能でのタンパク質の撮像

Nature 587, 7832

近年、クライオ電子顕微鏡法の進歩によって、生体分子を極めて詳細に解像できるようになった。しかし、通常のクライオ電子顕微鏡の分解能の限界は3 Å程度であるため、より微細な要素を解明する上ではまだX線結晶学に後れを取っている。今週号の2報の論文では、単粒子クライオ電子顕微鏡法を用いて原子分解能でのタンパク質の構造解析が実現されており、この状況が一変している。一方の論文では、S Scheresと R Aricescuたちが、新たな電子源、エネルギーフィルター、カメラを用いて、アポフェリチンの1.22 Åの分解能の構造(表紙の画像)とGABA-A受容体の1.7 Åの分解能の構造を報告している。もう一方の論文では、H Starkたちが、新たに開発したクライオ電子顕微鏡を用いて、アポフェリチンの約1.24 Åの分解能の構造を提示している。どちらの方法も、構造に基づく薬物設計により広く用いられる手法への道を開くのに役立つはずである。

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