Nature ハイライト

微生物学:体の中で作られるプロバイオティクス

Nature 572, 7771

腸内微生物叢は病原体の定着を防止できるが、これがどういう仕組みで起こるのかは分かっておらず、このような保護作用の利用を目的とした治療戦略を実行する妨げとなっている。E Pamerたちは今回、腸内常在細菌のBlautia productaがランチビオティックの一種を分泌することを明らかにした。このランチビオティックはLactococcus lactisが産生するナイシンAに類似していて、院内感染の主な原因であるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の一種Enterococcus faeciumの定着を低減させる。マウスにB. productaを経口投与したところ、VREレベルが低下し、微生物叢への影響はわずかだった。患者では、このランチビオティック遺伝子の量がE. faeciumの量と逆相関していることが実証され、またマウスでは、このランチビオティック遺伝子の含量が多い微生物叢の移植によりVREの定着に対する抵抗性が高まることも明らかになった。

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