Perspective

免疫チェックポイント阻害の基礎とイピリムマブ承認からの10年

Nature Reviews Drug Discovery 21, 7 doi: 10.1038/s41573-021-00345-8

がん免疫とがん免疫療法の開発可能性は、100年以上にわたって科学的議論と科学実験のテーマになっているが、過去30年間にIL-2、インターフェロンα(IFNα)などいくつかのがん免疫療法の成功があった。しかし、免疫療法が、発症率の高い複数のがん適応において患者の生存に幅広く影響を与えたのは、最近の10年間にすぎない。(外科手術、放射線療法、化学療法、標的療法に加えて)免疫療法が、がん治療の新たな柱として登場したのは、免疫チェックポイント阻害薬(ICB薬)の成功によるものであり、その最初の薬剤であるイピリムマブが承認されたのは2011年のことだった。免疫チェックポイント阻害薬は、T細胞活性化を減弱させる経路に関与する受容体とリガンド、例えば、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)やプログラム細胞死1(PD1)とそのリガンドであるPDL1を阻害し、末梢における腫瘍抗原に対する寛容の獲得を阻止し、あるいは寛容が成立していない状態に戻す作用がある。このPerspectiveでは、イピリムマブの承認10周年を記念して、免疫チェックポイント阻害薬に関する基礎科学の歴史を考察し、それとともにCTLA4経路とPD1経路を標的とする第1世代の薬剤の創薬、開発と作用機序解明の歴史について考察する。

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