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TRPチャネル創薬の進展:標的分子の検証から臨床研究へ

Nature Reviews Drug Discovery 21, 1 doi: 10.1038/s41573-021-00268-4

一過性受容体電位(TRP)チャネルは、感覚性知覚と細胞生理において多くの役割を果たしている多機能シグナル伝達分子である。従って、TRPチャネルをコードする遺伝子の欠損によって引き起こされる遺伝性疾患(TRPチャネル病)を含む多くの疾患にTRPチャネルが関係しているとされていることに意外性はない。ほとんどのTRPチャネルは細胞表面に存在しているため、一般的に利用可能な薬剤標的になっている。TRPチャネルを標的とする初期の創薬活動は疼痛に着目していたが、TRPチャネルと健康時と疾患時のTRPチャネルの役割に関する我々の知識が充実するにつれて、創薬活動は、呼吸器疾患から神経疾患、精神疾患を経て糖尿病とがんに至る新しい臨床適応へと拡大した。本総説では、薬剤開発と臨床適応の両方に影響を及ぼし得る最近のTRPチャネルの構造生物学的知見を考察した後、確立された標的と新たに判明した標的の両方を目標とする新規TRPチャネル調節因子の臨床的有望性について考察する。さらに、TRPチャネルの多機能的役割を原因とする副作用の可能性を最小限に抑えるためには慎重な標的化が必要であることなど、これらの化合物が臨床診療で直面すると考えられる諸課題についても検討する。

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