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アテローム性動脈硬化において炎症を標的とする:実験的洞察から臨床まで

Nature Reviews Drug Discovery 20, 8 doi: 10.1038/s41573-021-00198-1

アテローム性動脈硬化は、世界中で死亡および身体障害を引き起こす、主要かつ急増中の原因となっており、その発症から合併症の出現まで炎症が関与している。従って、炎症経路を標的とすることは、アテローム性動脈硬化を予防し、治療するための有望な新しい手段となる可能性がある。実際に、臨床研究では現在、炎症の調節によって、アテローム性動脈硬化の臨床的合併症を防げることが明確に実証されている。このような進歩は、ヒトのアテローム性動脈硬化において、炎症と闘う戦略をさらに精密にするための前臨床研究の必要性を示している。本総説では、アテローム性動脈硬化の炎症を緩和するための、魅力的なさまざまな可能性について検討する。例えば、インフラマソームのような極めて重要な炎症経路の標的化、サイトカインの阻害、適応免疫の操作、炎症消散機構の促進などである。炎症を抑制する薬理学的介入は、生活習慣の改善と共に、脂質や高血圧などの従来の標的を補完し、アテローム性動脈硬化のリスクの管理を新たに前進させる可能性がある。

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