Review Article

自己免疫疾患におけるB細胞枯渇療法の進歩と機構に関する識見

Nature Reviews Drug Discovery 20, 3 doi: 10.1038/s41573-020-00092-2

この15年の間に、自己免疫疾患の病因において、B細胞は、単なる傍観者ではなく積極的な参加者であることが再発見された。この再発見を加速した要因の1つが、B細胞枯渇療法(BCDT)の臨床的成功である。CD20やCD19、BAFFなどを標的とするBCDTは、もともとはがん性B細胞を除去する方法として考案されたが、今では全身性エリテマトーデス、多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療に用いられている。自己免疫疾患においてBCDTを用いたことで、いくつかの意外な結果がもたらされた。例えば、抗体を分泌する形質細胞は、自己免疫疾患の病因となる負の役割を果たすと考えられているが、BCDTは、疾患を制御している時でさえ、この形質細胞と抗体レベルに及ぼす影響は限定的である。本総説では、B細胞の生物学的性質に関する我々の最新の理解を示し、BCDTが適応となる自己免疫疾患においてBCDTを使用した臨床試験の結果を概説し、BCDTの作用機構に関する仮説を論じ、BCDTの次に登場するB細胞標的戦略について推論する。

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