Review Article

タンパク質群集と治療薬に対する応答を監視する

Nature Reviews Drug Discovery 19, 6 doi: 10.1038/s41573-020-0063-y

大部分の治療薬は、タンパク質の活性を変化させるように設計されている。代謝酵素から細胞表面受容体に至るまで、タンパク質の機能を細胞の表現型、薬物の活性、臨床転帰に結び付けることは、医薬品開発における反応機構研究の重要な節目である。しかし、特異性が非常に高い治療薬であっても、標的に結合した後の一連の事象は複雑なものとなり得る。構造タンパク質、代謝タンパク質、シグナル伝達タンパク質が相互に連結したタンパク質群集は、薬効、副作用、治療抵抗性の個体差として現れる多様な下流効果を調節する。最近の質量分析によるプロテオミクス解析の進歩によって、こうした複雑な関係を解明して、この関係に対して遺伝子型、細胞型、局所環境、外部摂動などの要因が及ぼす影響を理解できるようになった。本総説では、タンパク質群集とそれらが高分子治療薬と低分子治療薬にどのように応答するのかに関する理解が、プロテオミクス技術によってどのように深まっているのかを考察する。

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