Review Article

遺伝子調節を調整して遺伝性疾患を治療する

Nature Reviews Drug Discovery 19, 11 doi: 10.1038/s41573-020-0083-7

1000を超える疾患が、遺伝子の発現レベルを変化させる変異によって引き起こされている。最近、ヌクレアーゼを欠損させたジンクフィンガー、TALE(転写活性化因子様エフェクター)、あるいはCRISPR融合系が、遺伝子発現を調節することによってこうした疾患を治療できる可能性が明らかになった。こうした系を適用することで、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、インスレーターといった遺伝子調節エレメントの活性を修飾して、それらの標的遺伝子の発現レベルを変化させ、治療効果を得ることができる。このアプローチは、シス調節療法(CRT;cis-regulation therapy)と呼ばれている。本総説では、新たに登場したCRT技術について概説し、遺伝子量の異常によって引き起こされるさまざまな疾患に対するCRT治療の可能性を評価する。また、CRTの臨床応用に向けた課題についても考察する。

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