Review Article

抗腫瘍免疫のエピジェネティック制御を標的とする

Nature Reviews Drug Discovery 19, 11 doi: 10.1038/s41573-020-0077-5

エピゲノム制御の異常が起こると、がんの発症と進行を促進する異常な転写プログラムが駆動される。遺伝子発現の制御に不具合があると、発がんネットワークと腫瘍抑制ネットワークに悪影響が生じることが多いが、エピゲノム変化によっても、腫瘍免疫原性と抗腫瘍応答に関与する免疫細胞が悪影響を受ける可能性がある。このことは、エピジェネティック療法やがん免疫療法、あるいはそれらの併用療法の開発と適用に重要な意味を持つ可能性がある。本論文では、異常なエピジェネティック過程として重要なDNAメチル化とヒストンの翻訳後修飾が腫瘍免疫原性において果たす役割、そしてエピジェネティック修飾が抗腫瘍免疫機能に及ぼす効果を概説する。また、エピジェネティック調節因子の小分子阻害剤によって抗腫瘍免疫応答を増強する方法にも可能性があることを明確に示し、がんのエピジェネティクスとがん免疫の間の複雑な相互作用を利用してエピジェネティック療法と免疫療法を併用する治療レジメンを開発する際の諸課題について論じる。

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