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二重特異性抗体:開発段階の薬物を機構的観点から総説する

Nature Reviews Drug Discovery 18, 8 doi: 10.1038/s41573-019-0028-1

二重特異性抗体(bsAb)という用語は、2種類のエピトープまたは抗原を認識するように設計された大規模な分子群を記述するために用いられる。bsAbの形態は、連結した2つの抗原結合性フラグメントのみからなる比較的小さなタンパク質から、追加的ドメインが結合した大きな免疫グロブリンG(IgG)様分子までさまざまである。bsAbの魅力的な特徴の1つは新しい機能性、すなわち、元の抗体あるいは参照抗体の混合物中に存在しない活性を生み出す可能性である。こうしたいわゆる偏性bsAb(obligate bsAb)では、2つの結合特異性が物理的に連結していることで、結合事象が逐次的に起こるという時間的依存性や、結合事象(例えば、標的細胞へのエフェクターの結合)が同時に発生するという空間的依存性を生じさせる。現在までに、二重特異性抗体の生成と開発に利用できる20種類以上の技術プラットフォームが商業化されており、2種のbsAbが市販され、85種以上が臨床開発段階にある。本総説では、bsAbの現在の全体像について、パイプラインの包括的概要も含め、機構的観点から概説する。

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